高校卒業後、進学せずに地元の企業に就職したものの、会社の業績や自身の将来に不安を感じ、転職に悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
しかし、転職しようにも学歴がネックとなり、自分を雇ってくれる企業なんてあるのかと心配になりますよね。
確かに大卒と比較すると、高卒の転職活動に不利な面があるのは事実です。ですが、だからといって、学歴を理由に転職をあきらめる必要はありません。
あなたがこれまでに身に着けたスキルや経験をアピールできれば、採用したいと思ってくれる企業は見つかるはずです。
この記事では、高卒の転職事情やおすすめの職種、転職活動を成功させるためにすべきことなどを詳しく解説します。
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目次
高卒の転職事情|大卒者と比較すると難しい?
難しいといわれる高卒での転職活動ですが、実際どれほど大変なのでしょうか。
大卒者と比べると、どのような違いがあるのか確認してみましょう。
4割近くが就職後3年以内に辞めている
高卒と大卒で就職した方の大きな違いの一つとして、離職率が挙げられます。
特に1年以内にやめてしまう人は、大卒と比較して約2~3倍も多いのが現状です。
企業側にとって、3年以内で離職されるのは、採用にかかる費用を考えるとかなりの痛手なため、離職率が高いの高卒者を採用することに慎重になってしまうのです。
高卒だと求人応募の条件に満たないことも多い
転職活動で高卒の方を困らすのが、「大卒以上」と書かれた募集条件。気になる求人を見かけても、大卒が条件で応募できないという経験を味わった方も多いと思います。
企業が大卒を条件とする理由は大きく分けて3つ。
- 優秀な人材が欲しいから
- 応募人数を絞りたいから
- マネジメントが難しいから
大卒者すべて優秀とは限らないですが、確率的には多いと体感している採用担当は多いでしょう。
また、募集条件を緩くしすぎると、応募が殺到してしまい対応にかなりの労力を割かれます。
できるだけ、効率よく採用活動するために、大卒以上と条件を付けることで応募人数を絞っているのです。
学歴の違いによる、対抗意識や偏見が生じやすいのも、高卒者の採用を避ける一因といえます。
給料の伸びが悪い|生涯賃金が低い
高卒と大卒では、昇給の幅や生涯賃金にも大きな差が出ます。
最初は同じくらいでも、定年退職する頃には何千万もの差が出るのです。
「給料が低く、このまま働いていても昇給は望めない」
だから転職と思っても、良い待遇の求人は、前述のように募集条件が大卒とされていることが多く、高卒者の転職をより難しいものとしています。
高卒だからと転職を諦める必要はない理由
高卒の転職は、大卒と比べると不利な面もあるかもしれせんが、諦める必要はありません。
高卒が転職を諦める必要がない理由を3つ紹介します。
社会人経験をアピールできるから
高卒で就職した方の最大の強みは、社会人経験をもっていることです。
同年代の大学生が就職する頃には、4年分の経験値があります。積み重ねでしか得られない経験は、1年や2年で簡単に埋まるものではありません。
社会人になってから身につけたスキルや経験がアピールできれば、学歴に関わらず採用を得られるでしょう。
若い人材を求めている企業が多いから
最近では少子高齢化の影響もあり、新卒採用でなかなか人材を確保できない企業も増えています。そのため、転職活動では年齢の若さも武器となります。
特に20代前半は、体力や飲み込みの早さも相まって、のどから手が出るほど欲しいと考える企業は多いはず。
もし転職を考えているなら、20代のうちに行動を起こしたほうがよいでしょう。
最終的にはやる気や人柄が大事になるから
これまでの機械的な採用方法では、人材確保が難しくなってきていることから、学歴や年齢、経験だけで足切りしない企業も増えてきました。
最初から優秀であるに越したことはないですが、今後の成長に期待できる人であれば、学歴問わずに採用を得られるチャンスはあるはずです。
そのためにも、やる気や人柄といった内面部分をうまくアピールことが大切です。
高卒でも転職しやすい仕事
高卒でも転職しやすい仕事というと、介護や飲食店、トラック運転手などが浮かぶかと思います。
ただ、どの仕事も激務で続けられる自信がないという方も多いのではないでしょうか。
この項目では、オフィスワークを中心に高卒でも転職しやすい仕事を紹介します。
営業職
営業職は学歴に関係なく、収入アップが期待できる仕事です。むしろ、高学歴の方のほうが向かない仕事かもしれません
営業職として活躍するために一番大事な素質は、体力的にも精神的にもタフであること。何度断られても地道にテレアポを行い、毎月毎月、めげずに自分の営業数字を追い続けるタフさが求められます。
インセンティブ(成果報酬)が支払われている会社では、20代で年収1,000万円超えも不可能ではありません。
ただし、営業職は業界問わず、基本的に激務である傾向が強い点には注意が必要です。
事務職
事務職は女性人気が高く、募集人員1人の求人に対して、応募が軽く50件を超えることも少なくないほどです。
人気がある職業なら、学歴がないと厳しいのではと思うかもしれませんが、事務経験の有無が一番重視されます。
未経験の場合は、大手だと学歴が重視されるでしょうが、中小企業だと高学歴すぎる人は避けることがあります。
「ウチにはもったいないし、合わないだろう。」と判断されてしまうわけです。
また、事務職の中には人手が集まりにくい穴場の業界があるため、そこを狙うと採用される確率が上がります。
有効求人倍率 | |
事務的職業全体 | 0.45 |
一般事務の職業 | 0.34 |
会計事務の職業 | 0.74 |
生産関連事務の職業 | 1.77 |
営業・販売関連事務の職業 | 0.88 |
外勤事務の職業 | 4.12 |
運輸・郵便事務の職業 | 3.44 |
事務用機器操作の職業 | 0.47 |
参考:一般職業紹介状況(令和元年7月分)について|厚生労働省
ただし、事務職は基本的に給料が低く、中には雑用係ととらえている企業もあるため注意しましょう。
公務員
学歴を問わない転職先には、公務員も挙げられます。多くの公務員試験では、高卒採用枠が設けられており、学歴に左右されません。
勉強が嫌いだから進学しなかったのにと思うかもしれませんが、過去問を繰り返し解くだけでも、筆記試験の通過は狙えます。
一年時間をかけて準備すれば、合格できる確率はだいぶ高まるでしょう。
なお、公務員試験には年齢制限があるので、受験前に確認を忘れないでください。
エンジニア・プログラマー
エンジニア・プログラマーに関しては、スキルや経験が重視されるため、学歴によって採用結果が左右されることは少ないといえます。
年齢が若ければ、新卒に近い形で採用される可能性もあるでしょう。
ただし、ある程度年齢が上がってくると、未経験での採用は厳しくなります。書籍やネットを通じて、転職活動前から自分で勉強を進めていく必要があるでしょう。
また、エンジニアやプログラマーは、採用されて終わりでなく、そこからずっと勉強をしなくてはならない仕事です。
安易な気持ちで目指すと後悔することもあるので注意してください。
高卒者が転職を成功させるためにすべき5つのこと
不利と言われる高卒での転職を成功させるためには、きちんとした準備が必要です。
この項目では、転職を成功させるためにすべき5つのことを紹介します。
企業・業界研究
高校時代の就活とは異なり、1人1社制ではないですし、職場見学の機会も基本的にはありません。
指導してくれる先生もいないため、自分で多くの求人や会社HPなどから、情報を集める必要があります。
まずは、興味がある業界の求人から気になる企業を探してみましょう。気になった企業があれば、HPを調べ、どのような業務を行っているのか、どれくらいの規模なのか等を確認してみてください。
求人票もしっかりと確認しておきましょう。いくら給与がもらえるのか、休日・残業はどのくらいなのか、求人票に詰まっている情報を見逃してはいけません。
また、同じ業界に所属する他企業についても調べておきましょう。他企業と見比べることで、気になる企業が持つ強みや弱みを知ることができます。
②求人票を確認する
③業界内の他企業についても調べる
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自己分析
転職活動を成功させるためには、自己分析も大切です。
転職はしたいけれど、特にやりたい仕事は決まっていない、そもそもやりがいを求めていないという方も多いと思います。
そうであれば、無理にやりがいを見つけるのではなく、シンプルに好き嫌いで考えるとよいでしょう。
好きが多く、嫌いが少ない会社で働くことができれば、充実が得られやすいですし、そうした積み重ねからやりがいが産まれることもあります。
また、少しでも社会人経験があるのであれば、やる気や意欲をアピールするだけでなく、スキルや経験も必要です。
自分がこれまでに身に着けたスキルや経験を棚卸ししておきましょう。
本を読む
読書は最も手軽に知識や情報をインプットする方法です。
本には他の人が持つ知識や知恵、経験など、多くの情報が詰まっています。仕事に役立つかどうかに関わらず、様々な考えや価値観に触れることは、自身の内面を豊かにしてくれるはず。
実際にある研究では、読書がコミュニケーション能力の向上に役立っていることがわかったそうです。
参考:脳が変わる ── 神経外科医が勧める、人生を変える読書
普段、ネットやゲーム、SNSに使っている内のほんの少しでよいので、読書する時間にまわしてみましょう。
資格を取る・自習する
.学歴の差を埋めるために、資格取得を目指したり、やりたい仕事に関わる知識を身につけたりしておくことも大事です。
企業が未経験者を雇う場合に気になるのが、仕事をすぐに覚えてくれるかどうかです。
従業員に対する解雇の規制は厳しく、一度雇ってしまうと試用期間だろうが簡単にはクビにできません。
仮に未経験で雇った人がまともに仕事ができなかったとしても、企業は雇い続けなければならないかもしれないのです。
資格は目標のために努力したことの証です。採用を約束してくれるわけではないですが、学歴による不利をカバーできるでしょう。
【転職で役立つおすすめの資格】
- TOEICやTOEFLなどの英語資格
- 簿記(2級以上)
- マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS) など
転職エージェントを利用する
高卒で就職してしまった場合、1人1社制の縛りもあり、大卒の方と比較すると、転職活動で必要なスキルやマナーが身についていない可能性があります。
面接や履歴書で良い印象を抱いてもらうためには、魅せ方にも工夫が必要です。
転職エージェントを利用すれば、履歴書の書き方や面接対策など、転職活動に役立つノウハウやマナーを一から教えてもらえるのでおすすめです。
また、キャリアカウンセリングも受けられるので、転職先をどのように選ぶべきかわからない方は相談してみましょう。
高卒での転職におすすめのエージェント
転職エージェントといっても大小さまざまあり、どれを利用すべきかわからない方も多いかと思います。
とりあえずで選ぶと合わない場合も多いので、自分のスキルや経歴、転職目的に応じて選ぶとよいでしょう。
高卒の方におすすめの転職エージェントは以下の通り。
経験が浅い・第二新卒・フリーターの方向け
エージェント名 | 特徴 |
ジェイック | 独自の就活講座で一から職場選びをサポート |
マイナビジョブ20`s | 年間52,000人が利用する20代に特化した転職支援サービス |
ウズキャリ | 他社の10倍時間をかけた転職サポートが好評 |
社会人経験3年以上・オフィスワーク経験あり
エージェント名 | 特徴 |
doda | 業界トップクラスの求人数を誇る |
マイナビエージェント | 20代利用者の満足度NO.1 |
エンジニア・プログラマーになりたい方向け
エージェント名 | 特徴 |
ギークリー | 未経験可の求人を多数掲載 |
より詳しく各エージェントについて知りたい方は下記ランキングをご覧ください。
20代のフリーター・ニート・第二新卒に向けた就職支援サイト、転職・就職エージェントをランキング形式で掲載! 【ハタラクティブ】書類選考の通過率9割・フリーターからの正社員就職におすすめ!【最短2週間で[…]
自身に合ったサービスを利用すると、希望に近い求人の紹介を得られやすいので、各エージェントの特徴を確認してから選びましょう。
高卒者が転職活動をする際の注意点
高卒の中でも特に経験が浅い方は、何が正しいのか的確に判断するのが難しいかと思います。
この項目では、転職活動における注意点を紹介します。
あまり選択の幅を狭めすぎない
転職先の候補を選ぶ際、あれもこれもと欲張って条件を決めないようにしましょう。
あまりにも選択肢を狭めてしまうと、当然ですが応募できる求人は少なくなります。
基本的に条件が良い求人には、応募が殺到するので、その待遇に見合うだけのスキルや経験が必要です。
不採用が続いて、とりあえず内定をもらった企業に入社というのはよくありがち。そこが働きやすい職場ならよいですが、大抵はブラック企業で転職を後悔する方が多いので注意してください。
求人票・雇用契約書はよく確認
求人票や雇用契約書をしっかりと確認するだけでも、ブラック企業に入社する可能性をだいぶ減らすことができます。
給与や休日、残業時間など勤務条件については、念入りにチェックすることをおすすめします。
たくさん給与が支払われるように見えて、最低賃金での長時間労働が前提となっていることも少なくありません。
また、「アットホーム」や「未経験でも年収1,000万円」など、使い古された謳い文句でアピールしている企業は避けたほうが無難でしょう。
雇用契約書の確認も大切です。理由をつけて求人票より悪い条件での契約を求められる場合もあります。
そもそも雇用契約書がない会社もありますが、その場合は転職をさけたほうがよいでしょう。
これが最後だと思って転職する
一般的に転職回数が多い人の採用は避けられがち。転職回数が多い=長続きしない、嫌なことがあったらすぐ辞めると思われてしまうからです。
パワハラやセクハラなどのやむを得ない理由があれば別ですが、短期離職に対するイメージはあまり良くありません。
ダメだったら他を探そうではなく、今回が最後の転職だという気持ちで、職場を選びましょう。
すでに複数回の転職をしている方は、採用担当が納得できるような退職理由を用意しておくことも大切です。
転職エージェントを利用する際は話を鵜呑みにしない
記事内では、転職エージェントの利用をおすすめしましたが、言われたことすべてを鵜呑みにする必要はありません。
むしろ、担当者に言われたからと、何も考えずに従ってしまうのは少々危険です。
転職エージェントは、企業に紹介した人が採用されると報酬(採用された人の年収3割程度の金額)が得られます。
そのため、利用者の希望ではなく、採用されやすい企業や報酬が多く得られる企業を優先する場合があります。
いわゆるポジショントークによって、自分の希望と異なる企業に応募することがないよう、注意しましょう。
まとめ
高卒であることに引け目を感じてしまう方は少なくないですが、多少大卒に比べて不利な面があっても、転職できないことはありません。
むしろ、大卒者に比べて、社会人経験が豊富なことは大きなメリットといえます。
ただし、学生時代の就活とは異なり、転職活動では全年齢がライバルであるため、きちんと準備しておくことが大切です。
他の人と差をつけるために、以下の5つに取り組んでおきましょう。
②自己分析
③本を読む
④資格を取る・自習する
⑤転職エージェントを利用する
また、少しでも転職活動で失敗する可能性を下げたいのであれば、以下の点には注意しておきましょう。
②求人票・雇用契約書はよく確認
③これが最後だと思って転職する
④転職エージェントを利用する際は話を鵜呑みにしない
結局のところ、転職活動で大事なのは学歴ではなく、あなたの努力次第です。
ただ、転職活動だけを頑張るのではなく、日々の仕事から真面目に取り組みましょう。