ブラック企業で働いているのが辛く、どうすればいいか誰かに相談したいけど、一体どこに行けばよいのかわからない方も多いのではないでしょうか。
「もっとひどい環境の会社があるのでは…」
他の会社で勤めた経験がないと、いまの職場がブラックなのかどうか、いまいちわからないですよね。
ブラック企業とは、簡単に言えば、法律を守らずに従業員が持つ権利をないがしろにする企業であり、以下の点に当てはまるものがあれば要注意です。
- 残業代が1分単位で支払われない(15分や30分未満の残業が切り捨てられる)
- 有給休暇を取得させてもらえない
- 固定残業時間以上働いても追加で残業代が支払われない
- 求人票と異なる契約条件を締結させられた
- 基本給と固定残業代が給与明細上で区別されていない
- 固定残業代が何時間分の支払いか明記されていない
- 月の残業時間が100時間を超えている
- 10人以上従業員がいるのに就業規則がない
- 就業規則がいつでも確認できるようになっていない
- 裁量労働制なのに出勤時間が決まっている など
これらのうち、どれか一つでも当てはまっていたら、労働基準法に違反していることになります。
いままで当たり前だった働き方も、実は間違って解釈の下、ルールが運用されており、知らず知らずのうちに自分を安売りしてしまっているというわけです。
自分の働いている会社が労働基準法に違反しているとして、どこに相談に行けば問題が解決するのでしょうか?
実は、自身が抱える悩み・問題、相談目的に合わせて、相談先を選ばないと、納得いく結果が得られないことも多いのです。
この記事では、あなたの悩み・解決の方向性に応じたおすすめ相談先や、相談前に準備しておくことなどを詳しく紹介します。
ブラック企業を徹底排除した求人への紹介にこだわり
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目次
あなたの悩み・解決の方向性に応じて相談すべき場所が異なる
自分自身の力だけでブラック企業がらみの問題を解決するのは簡単ではありません。
できれば、外部の専門機関に相談しておきたいところです。
外部の専門期間には労働基準監督署や弁護士事務所、労働組合、労働局などがありますが、それぞれ対応できる問題に違いがあります。
専門機関名 | 対応可能な問題 |
弁護士 | 残業代請求、退職代行、パワハラ・セクハラ、不当解雇などの労働トラブル全般 |
労働基準監督署 | 残業代請求、不当解雇、違法な長時間労働など労基違反に関するトラブル |
労働局 | パワハラ・セクハラなども含めた労働トラブル全般(相談対応がメイン) |
労働組合 | 残業代請求、パワハラ・セクハラ、不当解雇など |
例えば、労働基準監督署は企業が労働基準法に違反していないか監督する機関です。
そのため、未払い残業代や不当解雇などの対応は可能ですが、パワハラやセクハラなどの法律違反とはいえないトラブルへの対処はできません。
また、弁護士であればあなたの代わりに会社と交渉したり、手続きを行ったりすることができますが、他の機関を利用した場合は自身での対応が必要となります。
自身の抱える問題に対応できないところに相談へ行っても、時間を無駄にしてしまうだけなので注意しましょう。
ブラック企業で困ったときに頼れる相談先5つ
あなたが労働トラブルの被害に遭った際、頼りになる相談先としては以下の5つが挙げられます。
実際に相談をした場合、どのような対応が期待できるかも含めて、詳しく解説します。
労働基準監督署
労働トラブルに遭った場合、まず思い浮かべる相談先が労働基準監督署ではないでしょうか。
公的機関が運営しているため信用できますし、労働者の味方として、違法な労働環境を改善してくれると期待する方も多いかもしれません。
確かに、あなたの訴えが認められて改善する場合もありますが、労基署とて万能ではないので注意が必要です。
労働基準監督署を利用する場合の注意点
・労働基準監督署の指導には強制力がない
・証拠がないと動いてもらえないケースが多い ・受付時間が短い(8:30~17:15まで※土・日・祝日・年末年始は休み) ・対応を後回しになる場合がある ・対応ができないトラブルもある など |
「労働基準監督署に行ったけど、何の対応もしてもらえなかった」という方が意外と多いのは、相談すれば問題を解決するために動いてくれる期待が強いからでしょう。
ですが、労働基準監督署は公的機関であるがゆえに、マニュアル通りの対応になりがちで、必要以上に介入することを嫌います。
確実に対応してもらいたいのであれば、あなた自身でも会社が違反している証拠・資料を集めておくことが大切です。
【参考】全国労働基準監督署の所在案内
総合労働相談コーナー
とりあえず、いまの状況が法的に問題ないのか確認・相談したいのであれば「総合労働相談コーナー」を利用するとよいでしょう。
総合労働相談コーナーは、全国の労基署もしくは労働局内に設置されている窓口で、あらゆる分野の労働問題について相談を受け付けています。
利用料は無料で、予約も不要。場所によっては、女性相談員が在籍していますので、セクハラやマタハラなどの女性特有の問題についても、安心して相談できます。
ただし、あくまでも相談対応だけで、問題解決のために何かしてくれるわけではないので注意しましょう。
弁護士
労働トラブルで悩んだ際は、弁護士に相談するのも一つの手です。弁護士というと裁判のイメージが強いため、自分の抱えるトラブルでは対応してもらえないのではと、不安になるかもしれません。
決して安いとはいえない金額を支払って、何の解決策も得られなかったらと思うと、気軽に相談するのも難しいでしょう。
仕事や職場に関するトラブルについて相談を考えているのであれば、労働問題を中心に取り扱っている弁護士を探しましょう。
そうした弁護士であれば、労働トラブルに関する対応にも慣れていますので、的確なアドバイスが得られやすく、裁判によらない解決も可能です。
弁護士のアドバイスを得られれば、自分が取るべき対応もはっきりするため、1人で抱えこまず、相談することをおすすめします。
法テラス
お金がなく、弁護士に相談するのが難しいという方は「法テラス」を活用するとよいでしょう。
条件を満たせば、1つの問題につき3回までの無料相談、弁護士・司法書士費用等の立替制度を利用できます。
無料相談・立替制度の利用条件
①収入等が一定額以下であること
詳しくは「法テラスホームページ」で確認してください。 ②勝訴の見込みがないとは言えないこと 和解、調停、示談等により紛争解決の見込みがあるもの、自己破産の免責見込みのあるものは、(2)に含みます。 ③民事法律扶助の趣旨に適すること 報復的感情を満たすだけや宣伝のためといった場合、または権利濫用的な訴訟の場合などは援助できません。 ※無料相談は①、②を、立替制度は①、②、③のすべて条件を満たしている必要があります |
ただし、相談時間は1回30分と短く、弁護士費用もあくまで立替なので、後に支払いが必要となる点には注意が必要です。
最近では、初回相談料を無料としている法律事務所も増えており、法テラスを利用しなくても無料で相談することができます。また、未払い残業代請求入社ついては、成功報酬型の料金体系を採用している事務所もあります。
成功報酬型とは、残業代請求で取り返した金額から、弁護士報酬を支払う料金形態をいい、依頼時に着手金の支払いが必要ありません。労働問題弁護士ナビでは、事務所の料金体系も確認できますので、依頼する弁護士をお探しの方はぜひ活用ください。
残業代請求・不当解雇が得意な弁護士に無料相談できる
『労働問題弁護士ナビ』は、会社で働く上で起こった労働問題(未払い残業代や不当解雇など)の解決が得意な弁護士に無料相談ができます。電話・メールで24時間相談でき、休日・夜間対応可能な弁護士も多数在籍。労働問題でお悩みの方は、弁護士を見つけてお悩み解決の第一歩を踏み出しましょう。
労働組合・ユニオン
会社で起きた問題は、社内の労働組合に相談するのもよいでしょう。
労働組合を通じて会社と交渉することで、自分だけでなく従業員全員の待遇改善が期待できます
また、社内に労働組合がない方はユニオンに加入するとよいでしょう。ユニオンは異なる会社の従業員が集まって組織された労働組合で、誰でも加入できます。
会社はユニオンによる団体交渉の申し入れであっても、拒否できないため、1人で闘うよりも心強いはずです。
ただ、注意してほしいのが、労働組合を利用すれば、費用をかけずに問題が解決するわけではありません。
相談は無料であっても、組合に加入すれば組合費の支払いが必要ですし、残業代請求をして未払い分の回収に成功すれば、一部金額を寄付金として支払うことになるでしょう。
各相談窓口にブラック企業の相談する前に準備をしておくこと
労働基準監督署や弁護士に、ただ相談に行けば悩みが解決するかといえば違います。
何の下準備もせずに相談に行ったところで、上手く悩みを伝えられずに、徒労に終わってしまうケースが多々あります。
短い相談時間で、悩みをきちんと理解してもらうには事前の準備が大切。相談前に準備しておくべきことを確認しておきましょう。
気になっている点をまとめておこう
短い時間で効率よく相談するためには、聞きたいこと・気になっている点をまとめておくことが大切です。
まずは、会社でどんなことが起きて、何に不満を持っているのかを書き出しましょう。書き出す際は、弁護士に状況を理解してもらいやすいよう、時系列に沿ってまとめてください。
そして、あなたが抱える悩みについて、法律的に問題はないのか、対処する術はないのかなど、質問したいことをまとめておきましょう。
また、反対に聞いたところで明快な回答を得られない質問もあります(確実に残業代を回収できますか?会社の損害を与えるにはどうすればよいですか?など)。
当然ですが、交渉ごとに絶対はありませんし、法律に違反(違法じゃなくても常識的に考えでまずいこと)するようなアドバイスはしてもらえません。
自分がどうしたいのか決めておこう
あなたが得たい結果によって、とるべき手段・対応も変わってくるため、ある程度は相談前に決めておいたほうがよいでしょう。
とりあえず、相談にだけでも行ってみようと考えるのは大事なことです。しかし、相談の結果、会社の行為が違法だとわかったとしても、最終的にどうするか決めるのはあなた自身です。
あなたがどうするかを決断しない限り、問題が解決に向かうことはないので注意しましょう
関係ある資料・証拠を集めておこう
相談したい内容について役立ちそうな証拠や資料を事前に集めておくと、より具体的なアドバイスを得られやすくなります。
必要な証拠が揃っていれば、相談後すぐに対処してもらえることもあるため、解決までの時間を短縮できます。
なお、労基については証拠がないと、動いてもらうこと自体が難しいので注意しましょう。
どんな証拠を集めたらよいのかわからないのであれば「○○ 証拠」でネット検索してみてください。役立つ証拠について紹介したサイトが見つかるはずです。
労働問題で役立つことが多い証拠
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転職して今のブラック会社から離れるのも選択肢の一つ
生活のために働く必要があるとはいえ、劣悪な労働環境のなかで働き続けても、得られるものはほとんどありません。
今後のキャリアのことを考えるならば、早いうちに今の職場を辞めたほうがよいでしょう。ですが、会社を辞めようと思っても、上司の引き留めや周囲への罪悪感から、退職を言い出しにくい人も多いかと思います。
退職できないなら退職代行を利用するのも一つ
自身で伝えづらいという方は、退職代行を利用するとよいでしょう。退職代行を利用すれば、出勤せずに会社を辞めることも可能です。
退職代行業者が行うサービスは、「非弁行為」に当たるため違法と聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
現状は弁護士の意見も割れており、グレーゾーンな行為といえます。また、需要が多いにも関わらず、参入障壁が低いことから、退職代行業者の数も増えています。なかには、ずさんな対応でトラブルに発展しているケースもあるようです。
もし退職代行を利用したいけれど、いまいち信用できないために、ためらっているようであれば、弁護士による退職代行を利用してみてください。
弁護士の退職代行であれば、非弁行為の問題はないですし、トラブルに発展する可能性もほとんどありません。料金も退職代行業者と同程度なので、安心してください。
忙しすぎて退職まで考えられない場合
また、転職活動への不安から、退職の決心がつかない場合もあるかと思います。
「忙しすぎて、働きながらの転職活動は難しい…。一度辞めてから、仕事を探さなければならないけど、もしどこも雇ってくれなかったらどうしよう」
時間がなくて転職活動ができないという方は、転職エージェントを利用するとよいでしょう。
・希望に沿った求人をピックアップして紹介してくれる・面接日程の調整を代行してくれる・履歴書の添削・面接対策が受けられる・ネットだけでは得られないような企業情報を教えてくれる
転職エージェントでは、転職活動のサポートが充実しているため在職中の方も安心です。
スムーズに転職活動が進むと、1ヶ月かからずに次の職場が見つかることもあるため、できるだけ早く、今の職場を辞めたい方は登録しておいて損はありません。
まとめ
ブラック企業を辞めたくても辞められないという悩みは、当事者以外からはなかなか理解が得られず、頼れる相談先はそれほど多くはありません。
ブラック企業で働いていて辛い、職場での労働トラブルで困っている方は、以下の専門機関に相談してみましょう。
専門機関名 | 対応可能な問題 |
弁護士 | 残業代請求、退職代行、パワハラ・セクハラ、不当解雇などの労働トラブル全般 |
労働基準監督署 | 残業代請求、不当解雇、違法な長時間労働など労基違反に関するトラブル |
労働局 | パワハラ・セクハラなども含めた労働トラブル全般(相談対応がメイン) |
労働組合 | 残業代請求、パワハラ・セクハラ、不当解雇など |
ただし、相談先によっては対応できないトラブルもありますので、あなたが抱える悩みを相談するのに適しているか、確認しておきましょう。
また、相談前に要点をまとめておくと、説明がスムーズにいくため、担当者に内容を理解してもらいやすいです。
相談だけでなく、会社に損害賠償や未払い残業代を請求したいのであれば、役立ちそうな証拠をできるだけ集めておくとよいでしょう。